
こんな方におすすめ
- 働き方を変えたい
- ワークライフバランスに悩んでいる
- 人事部所属で評価制度の改革を進めている
動機
日本企業において、働き方改革、ワークライフバランスなどのムーブメントが強まっています。
2011年に本社オフィスの集約移転を機にワークスタイル変革を実行した日本マイクロソフト社の取り組みと共に、多忙な中で幸せと成果を両立する「モダンワークスタイル」の言葉に惹かれこの本を手に取りました。
対象
本書は自らの可能性を高めるために効率的な働き方を目指すビジネスマン個人や、各企業の「働き方改革」担当者やテレワーク時代における評価制度の改革を進める人事の方は参考になると思います。
著者は働き方改革を目的にすると失敗すると説いています。また大企業に帰属すれば安泰である時代は終わりを告げ、量より質、スピード、目新しさを生む働き方をしないと他者に勝てない時代です。
そこで本書では、ワークスタイル変革としてアチーブモアな働き方、モダンワークスタイルなどの具体例が示されています。
根拠
越川慎司さんは日本マイクロソフト株式会社業務執行役員Officeビジネス責任者です。
外資系企業で重要なポジションでありハードワークにも関わらず、母親の介護やプライベート時間の確保などワークライフバランスの高い生活を維持されています。
概要
目次
- SESSION-1 間違いだらけの「働き方改革」
- SESSION-2 マイクロソフトが目指す「ワークスタイル変革」
- SESSION-3 より大きな成果をあげる「アチーブモア」な働き方
- SESSION-4 そしていま、私のモダンな働き方
- SESSION-5 「周囲を巻き込む力」で決まる
- SESSION-6 モダンワークスタイルが開く未来
日本企業の多くでは、働き方改革の一環として育児介護休業制度の充実、在宅勤務制度の整備などの仕組みづくりに終始していますが、適用範囲が狭く実際にはなかなか取得できない現実があります。
それに対し、著者は時間、場所、個人の事情やハンディキャップを問わず、個人の能力を最大限に発揮できる環境を企業が用意し、一人一人が「アチーブモア」を実現することが働き方改革であると説いています。
アチーブモアとは「Empower every person and every organization on the planet to achieve more:地球上のすべての個人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにする」の一文です。
SESSION-3では、著者自身のアチーブモアな働き方について、自身の経歴も踏まえながら具体的な事例が示されています。
私が働く上で最も大事にしているのは「内円」と「外円」という捉え方です。
(中略)私たちが働くときには必然的に自分でコントロールできる領域とできない領域が生まれます。
内円が自分でコントロールできる領域、外円ができない領域で二重円となります。本書引用P90
内円と外円の大きさが違えば違うほど、ギャップにストレスを感じます。
ただ、内円である自分がコントロールできる領域はゼロでは無いはずです。そこを少しずつ大きくして自分の領域を増やすためにはコンフォートゾーンを抜け出すという意識づけ、自分の強みの把握することが重要と説いています。
また、内円を広げるためには協力者を増やすことも大切で、社外でのネットワークが大きな問題を解決、達成につながるとされています。
日々状況が変わるビジネス環境の中では個人の処理能力ではなく、多くの人を巻き込む力が求められています。
SESSION-5ではクラウド時代のコミュニケーション力について具体例が示されています。
外資系のマイクロソフトでもすべての会議をオンライン上で行うことはしません。
「一体感」や「共通意識」を保つためには顔と顔をあわせたミーティングが欠かせないからです。 本書引用P169
ビジネスは交渉でできています。交渉力の源泉としてIQ(知能指数)よりもEQ(心の知能指数)、聴く力(アクティブリスニング)が重要と説いています。
IT技術はあくまで人と人とのコミュニケーションを補完する役割を担います。
様々な意思決定にはロジック重視のグローバルでも感情は入るので、信頼関係の積み重ねが大切であると説いています。
まとめ
ワークスタイル変革のリーディングカンパニーとして日本において様々な賞を受賞しています。
テレワーク勤務は、上司が見ていないところでサボったりするモラルの問題がつきものです。また福利厚生的な発想による働き方改革は不平等を生みます。
前に進みたい、成長したいといったポジティブなマインドを醸成する仕組みづくりが重要であることを改めて感じました。