book

【書評】日本再興戦略 落合陽一/著 

  1. HOME >
  2. book >

【書評】日本再興戦略 落合陽一/著 

こんな方におすすめ

  • 若手ビジネスマン
  • テクノロジーの進化によって今後の働き方が不安
  • 日本の将来が心配と感じている

動機

落合陽一さんは数々の注目される研究を発表し「現代の魔法使い」としてメディアで話題となりました。

人間、自然、デジタルがシームレスにつながる「デジタルネイチャー」という世界観を提唱されています。

世界で注目される日本人科学者が描く希望の国のグランドデザインに興味が湧き、本書を手に取りました。

対象

本書は日本の将来を憂いている方や悲観している方にとっては、日本の将来性を考える上で重要な視点が得られることとなります。

またテクノロジーやAIの進化により、今後の働き方も変わることとなります。

不安に感じている方も本書により自身の将来性についてヒントを得られる思います。

若手ビジネスマンは将来の日本を担うことになります。

本書により今後の日本のグランドデザインを思い描き、自身の進むべき方向性を知ることができると思います。

概要

第1章では「欧米」とは何かについて説いています。

まず、「欧米」というものは存在しません。

欧米とは幻想でありユートピアであり、日本人の心の中にあるものです。

日本には欧州式と米国式を組み合わせているシステムが多く見られます。

いいとこ取りしたつもりが、時代の変化により悪いところが表面化しています。

また、日本人は公平(フェア)にこだわり、平等にはこだわりがありません。

そして「西洋的な個人」は日本人には合わないです。

元来日本人は複数の職業を持ち、相互に関わり合い生活していました。

例えば江戸時代の日本には100や200の複数の仕事があり、そのうち何個かの職業を一人が兼任していました。

そして百姓とは「100の生業を持つ人」のことを指します。

西洋的な「ワークライフバランス」の発想に囚われる必要はないのです。 本書引用P41

ワークライフバランスはワークとライフを分けて考えています。

仕事と生活が一体化したワークアズライフの方が向いているはずです。

日本人は個人としては異端になりにくいが、集団として異端になるのは得意です。

従って小さい会社をどんどん生み、イノベーションを起こせば良いのです。

シリコンバレー、シンガポール、深センのようなスピード型が参考となるモデルです。

また、グローバル人材に必要なのは英語ではありません。

発信したい内容も無いのに英語を学んでも意味はありません。

「欧米」という幻想から解き放たれ、コアアイデアを持ってクリエーションしないといけないのです。

 

  第2章では「日本」とは何かについて説いています。

江戸時代には地域ごとに異なる文化が栄えて、士農工商のカースト制も300年続きました。

武士は政策決定者、官僚であり、農と工は生産をしているクリエイターです。

一方、商は生産をしません。

商が増えると国が成り立たないので、士農工商で地位が低いのは正しいです。

士農工商のモデルは、これからの時代にも合っています。
一周回って、士農工商の考え方が時代の最先端になってきているのです。 本書引用P77

百姓的な多動力を発揮する生き方がこれからは重要です。

日本人はマスメディアに植え付けられた「普通」という概念にとらわれすぎです。

そしてトレンディードラマ的世界観により、日本は超拝金主義となりました。

これを抜け出さないと価値を中心としたパラダイム(士農工商)に戻れません。

お金からお金を生み出す職業が一番稼げると考えるのが間違いです。

欧州では、社会に価値を生み出すアーティストや博士は尊敬されています。

学ぶべきは江戸時代より以前の文化です。

職人の年収が300万円と、生産する人を馬鹿にする拝金主義(金融崇拝)を律する必要があります。

年収レンジだけで物事を考えていたら、社会の富や価値は多様性を持ち合わせません。  

 

第3章では「テクノロジーは世界をどう変えるか」について説いています。

日本の再興戦略を考える上でカギになるのはテクノロジーです。

自動運転は移動や時間の概念を変えてくれます。

自動運転により移動コストが下がるため、都会から離れた豪邸に住んでいても移動が苦痛になりません。

都心に住む意味が薄れて、地方の地価が上がるかもしれません。

自動運転により、時間が生まれます。

その余った時間をどう使うかが問われてきます。

従って、自動車会社は車の中で過ごすライフスタイルをデザインする必要があります

移動手段ではなく、生活の一部に溶け込むはずです。

今後、世界がデジタルネイチャーに向かう中で、メディアを中心にテクノフォビア(テクノロジー恐怖症)を生み出すような議論が出てくるはずです。 本書引用P140

根拠のないテクノフォビアは日常をより悪くしていくだけです。

悲観的なディストピア(理想郷とは逆の社会)ではなく、テクノロジーの流動性がもたらすプロトピアに向かっていく必要があります。  

 

第4章では「日本再興のグランドデザイン」について説いています。

日本ほど財布にポイントカードがある人種はいません。

従って日本はトークンエコノミー先進国といえます。

トークンエコノミー化により、個人やグループに対する投資がしやすく、優秀な人材(研究者など)にお金が集まる健全なマーケットメカニズムが働きます。

私たちがデジタル社会で苦しんでいるのは、シリコンバレー発のプラットフォームに支配されているからです。

iPhoneを買うと3割のお金がシリコンバレーに搾取されることがその一例です。

そこで各ローカルのプラットフォームを作れば、ローカルの経済圏を作ることができます。

 

 第7章では会社・仕事・コミュニティについて説いています。

ワークアズライフの時代では、ストレスフルな仕事とストレスフルではない仕事をどうバランスするかが大事です。

百姓として複数の仕事を行い、様々な会社や様々な人たちと一緒に働くのが普通になります。

また雇用の確保にこだわらず、ダメなホワイトカラーは外に出していかないといけません。

ベンチャー企業も5人に1人は守りの人材が必要です。

従ってホワイトカラーおじさんは、複数の企業の事務作業を行うと良いと思われます。

また、フランスの男女平等を真似しないことが大事です。

すべてのことを男女平等として考えることは間違いです。

子育ては母乳がでる母親がするほうが合理的に決まっています。

逆に消費活動の半分が女性にもかかわらず、経営やマーケティングが男性中心なのは良くありません。

これからの時代においてはいろんなリスクばかり考えてなかなかチャレンジできないと、
機械と同質化する一方になってしまいます。 本書引用P244

人類の良さはモチベーションにあります。

リスクをとるほどモチベーションが上がるのは機械にはない特徴です。

資本の格差が語られることも多いですが、これからはモチベーションの格差、文化の格差をどう埋めていくかが大きなキーワードになると考えられます。

考察 百姓が日本を変える

私は「西洋的なワークライフバランス」ではなく、「百姓的なワークアズライフ」の働き方が浸透することに大きな期待感を持ってます。

百姓は複数の職業を持ち、相互に関わり合い生活をしていました。

テクノロジーの進化とともに従来あった仕事が淘汰されている一方で、youtuberなどの新たな職業も生まれています。

イノベーションの父と呼ばれる経済学者のシュンペータが代表作「経済発展の理論」の中で、イノベーションとは「新結合」であると提唱しています。

個人が複数の職業を持ち、他人と関わり合うことで「新しい組み合わせ=新結合」が生まれるのではないかと期待しています。

つまり百姓はイノベーターが生まれる可能性を秘めています。

しかし、ただ組み合わせを変えたところで「意味的価値」があるものなのか、よく吟味する必要があります。市場ニーズに合わないものを作ってもガラパゴスな製品にしかなりません。

そのためにもマーケティング能力は百姓に求められる必須スキルと思います。

まとめ

著者は研究室の学生に「手を動かせ、物を作れ、批評家になるな。ポジションを取った後に批評しろ」とよく言うそうです。

そして、日本人の多くがビジョンを共有し、トライアンドエラーのマインドセットに切り替えられたとき、日本は再興すると説いています。

ポジションを取り、手を動かすことによって、自身の豊かな人生の時間の使い方となるのだと感じました。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
アバター

Yuko

自己投資、読書、資産形成、旅行で 豊かなワークライフスタイルを目指す 中流サラリーマン /建設業 /MEP Engineer /maneger /経営学修士MBA /大阪在住

-book

Copyright© Yuko Blog , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.