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本書はできるリーダーの行動様式が具体例を交えてわかりやすく示されており、大変参考になります。
リーダーと部下のそれぞれの立場に立った考え方から、リーダーがやるべきことが示されています。
管理職の方など、何らかのチームをまとめる立場(リーダー)になられたばかりの方におすすめです。
すでにリーダーの方にも、自らのリーダーとしての行動に問題がないか、内省することにもつながります。
本の概要
リーダーが頑張るポイント
年々リーダーの業務量が増えています。
それは頑張るだけでは乗り越えられなくなっているレベルです。
そこで、自分がいかに速くやるかではなく、他人にいかに任せていくかということが重要になってきます。
つまり、もっと部下や仲間を頼ることが大事です。
また、仕事を任せないと部下の成長は鈍化します。最初の3年が勝負だそうです。
一方、不用意に厳しく接するとパワハラになってしまいます。
厳しくではなく丁寧に伝えることが大事です。
「部下の意見に傾聴する」「丁寧な指導をする」のが理想的な上司像と言われています。
ただし、マイクロマネジメントは部下のチャレンジ精神を奪います。
あれこれ注意せず、相手軸で考えているのか考えさせることが重要です。
できるリーダーの任せ方
リーダーの任せる覚悟が部下を覚醒させます。
リーダーは自らの経験を封印して、部下に経験させることで部下の成長に繋がります。
方針はリーダーが決め、方法はメンバーが考えるようにしましょう。
中には出来ない部下もいることだと思いますが、人は変わると信じてみることです。
すぐの結果ではなく伸び代に期待すると決めることが大事です。
任せ上手なリーダーはあえて失敗談を語ると部下の主体性を引き出すことにつながる。
また、任せると放任の違いを明確にする必要があります。
任せることと放任の大きな違い3点あります。
ポイント
- 部下がやっている作業を具体的に答えられるか?
- 今部下が抱えている負の感情を把握しているか?
- やったことに対してフィードバックができているか?
理想のリーダー
プレイングリーダーは常にリーダーモードを優先しましょう。
つまり、部下の前では自分のことは横に置いておくと決めることです。
また部下に対して効果的な褒めどころを知ることが大事です。
行動に変化をもたらすくらいにモチベーションを高めるのは、能力や内面をほめた時です。
そうすることで部下に主体性が出てきます。
リーダーになったら使命を探し、仕事を面白くする方法を考えましょう。
仕事の流儀を語れば単純作業すらもエンターテイメントになります。
また「いい人」より「格好いい人」であることが大事です。
常に好奇心を持ってインプットするリーダーに部下は刺激を受けるものです。
社外活動が充実している上司の方が若い部下から魅力的に映ります。
新人にはティーチングで不安をなくしましょう。
ティーチングは5W1Hで伝え、不明な点を聞き、最後に復唱すると効果的です。
ただしマイクロマネジメントにならないように注意する必要があります。
中堅にはコーチングで「考える力」を伸ばします。
ベテラン部下は放置せず、定期的に情報共有の機会を設けることが大事です。
チームビルディング
強いチームづくりには「バランスト・スコアカード(BSC)」のフレームワークが役に立ちます。
チームビジョンに加えて、BSCの4つの視点「財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点」で目標設定し数字で管理します。
ただしガチガチに管理しないように気をつけることが大事です。
チームのビジョンはチームのみんなで考えましょう。
会社の理念ではなく自分のこととして考えるプロセスとして大事です。
チームビジョンが一人ひとりの主体性を引き出すことにつながります。
形骸化しないようにするには、「視覚、聴覚、仕組み」で浸透させることが大事です。
チーム作りの最初は会話量を増やすところから始まります。
お互いの考え方を知る機会を作ることが重要です
明確な役割を与え、一人ひとりを主役にしましょう。
考察 リーダーシップは才能か?
本書で示されている「できるリーダー」とは一種の才能によるものでしょうか?
才能がリーダーシップの発揮に影響を及ぼすこともありますが、
「リーダーシップは個人の資質だけに求めるには無理がある」というのが経営学の諸研究から導かれています。
そこでリーダーの行動特性に着目がされています。
例えばリーダーシップの行動特性として「PM理論」があります。
Pは目標達成行動(Performance)を指し、Mは集団維持行動(Maintenance)を指します。
目標達成行動とは、集団の目標達成を促し強化する行動です。
目標達成に向けて計画を立てたり、計画を遂行するために指示を出したり、規則の遵守を徹底するといった行動のことを言います。
集団維持行動はメンバー間の葛藤や緊張を緩和したり、個々の尊厳を重んじ、自主性を促すなどメンバー間の相互依存関係を促進する行動のことを言います。
個人の資質というよりも、これらの行動特性がリーダーシップにつながるため、
誰もがリーダーシップを発揮できるということが示されています。
本書においても「できるリーダー」の行動様式が示されており、個人の資質によらないことがよく分かります。
まとめ
トヨタ自動車の豊田社長が「ボスとリーダーの違い」について2020年の労使交渉で語っています。
(youtubeで見ることができます。)引用元はイギリスの高級百貨店チェーン創業者の言葉だそうです。
当たり前のことを当たり前にやれる職場づくりとして、挨拶やありがとうと言葉を交わすといった基本的なことから始めようと語られています。
そのためにも自らが見本になるように、率先垂範することを重要視しています。
できるリーダーとは、本書で示されている「リーダーシップ行動」に加え「率先垂範」によって形作られるのだと感じました。