はじめに
GAFA(Google Apple Facebook Amazonの頭文字)のいずれのサービスも使ったことがない人はほぼ皆無だと思います。
それほど強大で巨大なインフラを築き上げています。
四社は別々の事業やサービスを展開していますが、実は複雑に関わり合っています。
この四社がどれほど強大であり、なぜこれほどの成長を遂げたのか?
また四社に対抗する術やデジタル社会で個人が生き残る術は何か?
本社ではこれらの疑問について詳細が示されています。
本の概要
GAFAの四社は人類を幸せに導く「聖なる四騎士」なのか。
あるいは何万もの仕事や企業を消滅に追い込み、個人情報を牛耳り、地上を支配する「ヨハネの黙示録の四騎士」なのか。
まずはGAFA各社の強み、凄みについて本書の中から抜粋してご紹介します。
アマゾン
アマゾンは、より多くの物をできるだけ楽に集めたいという私たち人間の狩猟採集本能に訴えかけてきます。
従来、消費者はブランドのサイトで商品について調べてからアマゾンで購入すると考えられてきました。
しかし、実際は商品検索の55%はAmazonから始まっていると言われています。
購買意欲は実はAmazonから始まっているのです。
小売事業とその周辺を取り巻く分野(物流や配送)はもはやアマゾン一強の時代です。
それでもなおリスクを承知で投資戦略を実施しています。
ただし安い資本で小さく始めて、無駄な資金を使い続けないように、いつでも引き返すことができるようにしています。
そうしてアマゾンはますます強大で巨大な帝国を築き上げていきます。
一方で、アマゾンという巨大帝国に対抗する小売企業もあります。
品物はアマゾンで簡単に手に入りますが、それでも客が店に来るのは、店員(専門家)と話をするためです。
そこに小売企業の商機があるのかもしれません。
アップル
著者は「アップルはいつも他社からインスピレーションを得ている」と述べています。
(インスピレーションとはアイデアを盗む時の常套句として使われています。)
アップルは希少性を追求して並外れた利益を得るようになりました。
高級品マーケティングを追求し、一種のレア感がアップルの成功の鍵です。
高級ブランドになるには以下の5つの条件があります。
アイコン的な創業者、職人気質、垂直統合(メーカー直売)、世界展開、高価格
アップルにはこれらが備わっています。
また、高級ブランドは長生きします。
四騎士の中でアップルが22世紀まで残っている可能性が高いと言えます。
アップルはテクノロジー企業ではなく、人々に製品、サービス、感情を販売しているのです。
そこに強みがあります。
フェイスブック
フェイスブック、インスタグラムの影響力は凄まじいスピードで大きくなっています。
インスタグラムを通して物事を知り、そこからアイデアと欲望が生まれています。
消費者の購買力を高める点においては、フェイスブックとインスタグラムは「認知」の段階に大きな影響力があります。
マーケティングのファネル(漏斗) の入り口の部分です。
また、フェイスブックはデータベースからターゲット広告を出しています。
この「関連付け」と「プライバシー」はしばしば問題になっています。
しかし、プライバシーを侵害するような事象が発生しても、これらのサービスを使い続けているのが実情だと思います。
それほど影響力が高いサービスなのです。
SNSのTwitterはトレンド分析はできるが、個人をターゲットするのには苦戦しています。
Twitterは偽名が多く自動ツイートが15%を占めます。
対してフェイスブックは個人情報に基づきターゲットを絞って広告を提供することができます。
スナップチャットという動画投稿アプリがあります。
投稿した動画は一定時間後に消えるので、誤りをカバーする保険になり、プライベートなコンテンツを送りやすくなりました。
また、一瞬で消えるので切迫感が生じ、フォロワーのエンゲージメント率が高まると言われています。
インスタグラムもまた、ストーリーズを展開しスナップチャットと同様の機能を付加しました。
このように「スピードと順応力」によってサービスを拡充して世界最大のメディア会社の地位を確立しています。
グーグル
Googleはすべての疑問に答えてくれます。
オーガニック検索(広告の影響を受けない検索)は中立性を維持し、有料コンテンツでは広告料を取れるようにしている。
またGoogleには検索結果から未来を予測する能力を備えています。
まるで映画「マイノリティリポート」のプリコグのような能力です。
検索キーワードから犯罪を事前予知し、犯罪を未然に防ぐことも可能になっています。
アップルが高級ブランドになったように、Googleは公益企業になったとも言えます。
Googleはどこにでも備わり、あるのが当たり前のような空気のような存在です。
そして世界中のあらゆる情報を整理し、有用な情報を捕獲し管理することを目指しています。
四騎士の共通の戦略
四騎士は他者の模倣により成り上がってきました。
盗みは成長スピードが速いテック企業のコアコンピタンスです。
野心的な騎士たちは、古い競争ではあり得ないやり方で市場に打って出ます。
そこで突然ですが、人間の脳と心に着目してみます。
脳は物事を合理的に計算して判断します。
コストと利益を重視して、良いことと悪いことを瞬時に天秤にかけます。
一方、私たちの行動のほとんどは感情によって動かされます。
従って冷静な脳に費用便益分析をするよりも、心をターゲットにする方が簡単です。
心をターゲットにするのは抜け目ない合理的な戦略です。
心は脳の意思決定を覆すことができる数少ない力の一つです。
四騎士らは戦略的に脳と心に働きかけるビジネスを展開しているのです。
四騎士は次の「覇権の8遺伝子」を備えています。
商品の差別化、ビジョンへの投資、世界展開、高感度、垂直統合、AI、キャリアの箔づけになる、地の利
NEXT GAFAとしては、次の企業が挙げられています。
アリババ、テスラ、ウーバー、ウォルマート、マイクロソフト、 エアビー、IBM、(ベライゾン、AT&T、コムキャスト、タイムワーナーの通信四社)
いずれの企業も覇権の8遺伝子を備えています。
生き残る武器
現代は超優秀な人間にとっては最高の時代と言えます。
逆に平凡な人間には最悪の時代とも言えます。
トップレベルの製品の価値は急騰し、劣った製品は下落していきます。
同じことが労働市場でも起きています。
デジタル時代に個人が成功するために必要な内面的な要素は次の3点が挙げられています。
心理的成熟、好奇心、当事者意識
また、何かを成し遂げた経験がある人は、あらゆる分野で目標を達成することができます。
そして、「都市に出る」ことも重要です。
イノベーションの多くはアイデアが集まるところで起きている。
進歩は人間の直接の交わりから生じるものです。
新しいものを受け入れていきましょう。
そして、好きなことではなく得意なことでキャリアを築くことです。
不満を口にせず、 あなたのスキルを評価してくれるところに行くべきです。
時には助けを求めることも重要です。
大きな成功を収める人は、重要な問いについて考える余裕があります。
成功を目指すなら他人の助けを仰ぐ必要があるのです。
まとめ
これからのデジタル社会を生き抜くにはGAFA(四騎士)を理解することは絶対に必要です。
四社のサービスの本質を理解することで、デジタル社会の先行きを予測し、自身の経済的安定を築くための大きな力となるのだと思います。
巨人と真っ向から戦うのではなく、共存共栄を図りつつ差別化を図るのが、ビジネス戦略としてあるべき姿ではないかと思います。